ライフジャケットは、釣り人の命を守る大切なアイテムです。海釣り、川釣り、船釣り、ボート釣りなど、万が一落水してしまった場合に、生存率を大きく左右します。ぜひ、釣行場所の水深が深い場合は、準備しておくことをおすすめします。
目次
01
水難事故の生存率
If
釣りをはじめ、遊泳や川遊びなどでは、水難事故の危険が潜んでいます。国土交通省によると、ライフジャケットの非着用時と着用時での生存率は2倍以上というデータがあります。非着用時では、生存率は27%、死亡率は73%、着用時は、生存率は60%、死亡率は40%になるそうです。ライフジャケットの有無は、生存率を大きく左右することがわかります。海釣りや川釣りでは、足を滑らせたり、つまづいて落水してしまう危険性があります。船釣りやボート釣りでも、揺れでバランスを崩し落ちてしまうかもしれません。服を着たまま落水すると、泳いだり浮き続けるのがとても困難になります。
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ライフジャケットとは
About
ライフジャケットは、「救命胴衣」と呼ばれる救命用具のひとつです。着用することで、浮力を備え体を水上浮くことができ、頭部を水面上に上げることができます。川での落水は、海と違って塩分濃度による浮力が働かないため、危険度が増します。浮力を備えることで、体力消耗を低減することができます。ライフジャケットのタイプは、主に膨張式と浮力体式があります。
ライフジャケットを着用すると
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POINT.1
浮きやすく、頭部を水面上に位置できる
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POINT.2
体力消耗を低減させる
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浮力体式(ふりょくたいしき)
Type
浮力体式は、浮力を持つプラスチックなどの浮力材が装着されたライフジャケットです。何かをする必要はなく、落水した時に瞬時に浮力が働きます。ライフジャッケットのスタンダードなタイプです。釣り用のフィッシングベストやフローティングベストの多くは、浮力体式を採用しています。浮力による安全性に加え、複数の収納ポケットやDカンなどが搭載され、釣りに特化した機能を備えています。プライヤーやレインウェアなどの収納、通気性や速乾性に優れたモデルなどがあります。幅広い釣りに対応できますが、重装備になりやすく、機動性にはやや欠けます。また、ジッパーバックルで複数箇所を固定するので、モデルによっては着脱に少し手間がかかります。
浮力体式ジャケット
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POINT.1
浮力と高い機能性を備えている
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POINT.2
重装備になりやすく、機動性に欠ける
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膨張式(ぼうちょうしき)
Type
膨張式は、炭酸ガスなどボンベが装着されたライフジャケットです。腰巻きタイプや肩掛けタイプが主流で、コンパクトに装着することができます。着脱が容易なため、服装の邪魔をしにくく持ち運びにも優れています。膨張式は、取り扱いやメンテナンスに気をつける必要があります。水に反応するので、落水していなくても雨などの水濡れで発動してしまうことがあります。ガスボンベや水を感知するカートリッジの交換が必要になります。残量チェックをして管理しなくてはいけません。
膨張式ライフジャケット
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POINT.1
コンパクトに装着できる
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POINT.2
取り扱いに注意が必要
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POINT.3
ガスボンベ交換などメンテナンスが必要
形式は、手動膨張式と自動膨張式があります。手動タイプは、パニックなどに陥ったときに発動できないリスクがあるので、泳ぎに自信がある方に向いています。泳ぎに自信のない方は、水に反応し自動発動する自動膨張式がおすすめです。
手動膨張式
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POINT.1
ジャケットのヒモを引くことで膨張する
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POINT.2
泳ぎに自信のある人向け
自動膨張式
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POINT
水に反応して自動で膨張する
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POINT.2
泳ぎに自信がない人向け
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桜マーク
Sakura
桜マークは、国土交通省により安全基準を合格したライフジャケットに与えられます。ジャケットの浮力が7.5kg以上で、顔を水面より上に維持できるかなどの厳しい安全基準を満たしています。船舶に乗船するときは、このマークが付いていることが必須となります。国土交通省により平成30年2月以降、小型船舶の乗船者にライフジャケット承認品の着用が義務付けらています。着用しないと法令違反となります。船舶を利用した船釣りのときは注意しましょう。
桜マークのタイプ
船舶で着用するライフジャケットに桜マークにはタイプがあります。タイプによって使用可能な船舶が定められています。利用する船舶に適合していないことで違反になるので、必ず確認しましょう。船釣りで使用する場合は、「タイプA」を選ぶようにします。
タイプ | 使用可能な船舶 |
---|---|
A | すべての船舶 |
D | 陸岸より近い水域のみを航行する旅客船・漁船以外の小型船舶 |
F | 陸岸より近い水域のみを航行する不沈性能、緊急エンジン停止スイッチ、ホーンを有した小型船舶(水上バイク等)でかつ旅客船・漁船以外のもの |
G | 湾内や湖川のみを航行する不沈性能、緊急エンジン停止スイッチ、ホーンを有した小型船舶(水上バイク等)でかつ旅客船・漁船以外のもの |
※国土交通省HPより引用
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CSマーク
CS
ライフジャケットは桜マークの他に「CSマーク」があります。CSマークは、日本小型船舶検査機構(JCI)の検査を合格したライフジャケットに与えられます。レジャー用として、一定の安全基準を満たしています。船舶を利用する船釣りには使用できないので気をつけましょう。日本小型船舶検査機構は、国の代行機関で小型船舶に関わる検査や登録測度など行っています。
CSマークの浮力
CSマークのライフジャケットには、L1やL2などの表記がされているものがあります。これは、日本小型船舶検査機構により定められた浮力の規格です。釣行場所に適しているか必ず確認します。不安な場合は、1ランクの上の規格のジャケットを選ぶことをおすすめします。
大人用
ランク | 浮力 | 使用環境 |
---|---|---|
L1 | 11.7kg以上 | 磯、防波堤 |
L2 | 7.5kg以上 | 磯、防波堤、筏(いかだ)・カセ、海釣り施設、サーフ・河口域、淡水域の岸釣り |
L3 | 5.85kg以上 | 筏(いかだ)・カセ、海釣り施設、サーフ・河口域、淡水域の岸釣り |
子供用
ランク | 浮力 | 体重 |
---|---|---|
– | 7.5kg以上 | 40kg以上 |
LC1 | 5kg以上 | 15kg以上40kg未満 |
LC2 | 4kg以上 | 15kg未満 |
07
おすすめ浮力体式ライフジャケット
List
磯釣りや湖川の釣りには、フローティングベストがおすすめです。浮力材の搭載に加え、収納機能にも優れています。フローティングベストは、ほとんどがレジャー用なので船舶を利用する船釣りでは使用できないので注意します。
衝撃吸収剤や収納に優れ、移動しながら魚を狙うアクティブな釣り人におすすめ!
浮力材 | ポリエチレン独立発泡 |
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浮力 | 7.5kg |
サイズ | フリー |
高い収納性と機動性を備え、着心地をアップするパワーホールディングシステムを搭載!
浮力材 | 独立発泡材 |
---|---|
浮力 | 7.5kg以上 |
サイズ | フリー |
プライヤーやレインウェアなどを収納できる機能を備え、機動性に優れた多機能なベスト!
浮力材 | 発泡ポリエチレン |
---|---|
浮力 | 7.5kg |
サイズ | 100cm〜150cm |
胴体をしっかりホールドするスポーツタイプのライフジャケットで、国交省認定品と同等浮力フローティングベスト!
浮力材 | ポリエステル |
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サイズ | S/M/L/XL/XXL/XXXL |
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おすすめ膨張式ライフジャケット
List
腰巻タイプは、ベルトのように巻くのでコンパクトに収まります。釣行中も動きやすいです。発動時は、浮き輪のようなイメージなるので、安定した姿勢を得るには自分でコントロールする必要があります。肩掛けタイプは、首、肩に掛かるので安定した姿勢で浮くことができます。釣行中の動きでズレたり制限がでてしまうことがあります。
首まわりは肌触りのよい速乾メッシュ素材で、動きに制限されることなく快適に釣りができる!
形式 | 手動・自動膨張式 |
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浮力 | 7.5kg |
サイズ | 最大130cm |
認証取得 | 桜マーク |
タイプ | A |
ウエスト55cm~140cmと幅広く対応、ボンベとカートリッジの装着状態が一目でわかるダブルインジケーター搭載!
形式 | 手動・自動膨張式 |
---|---|
浮力 | 7.5kg |
サイズ | 55cm~140cm |
認証取得 | 桜マーク |
タイプ | A |
落水センサーが水分に反応して自動で膨脹、収納もコンパクトで機動性と快適性が大幅にアップ !
形式 | 手動・自動膨張式 |
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浮力 | 7.5kg |
サイズ | 60~105cm |
認証取得 | 桜マーク |
タイプ | A |
反射板やホイッスルも付いて安心、膨張完了までわずか5秒!
形式 | 手動膨張式 |
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浮力 | 11.7kg |
サイズ | 65~110cm |
認証取得 | CEマーク |
腰巻タイプで簡単に装着、ベルト式でバックルをカチッと装着するだけ!
形式 | 手動・自動膨張式 |
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浮力 | 11kg |
サイズ | 55cm~120cm |
認証取得 | CEマーク、ECマーク、CCSマーク |
09
人に気づかせる対策
List
ライフジャケット着用時に、もしも落水して浮力を発動させても安心はできません。自力で陸に上がれない場合は、人に気づいてもらう必要があります。浮いているだけで体力を消耗しなくても、冷たい海水によって体温が下がり衰弱してしまう可能性があります。人を呼ぶにも、広い海で声を届かせることは困難です。そんなときのために笛を備えておくとよいです。
ダブルチューブで、弱く吹いても高い音が出るからかなり遠かせることができる防災笛!
首に下げたりポケットに入れたりしても邪魔にならないサイズで、携帯性にも優れています。釣りをはじめ、キャンプやアウトドアの「もしも」の時のために持っておきたいアイテムです。
用途 | 遠足、登山、キャンプ、釣り、ハイキング、旅行、トレッキング、スポーツなどの緊急時 |
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ステンレス製で錆びにくく、大歓声の中でも響き渡る大音量のホイッスル!
ネックストラップ付きで、最大120dbに達する音を出すことができるホイッスルです。120dbは「飛行機エンジンの近く」に相当する音になります。
用途 | 遠足、登山、キャンプ、釣り、ハイキング、旅行、トレッキング、スポーツなどの緊急時 |
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10
メンテナンス
Mentenance
膨張式ライフジャケットは、いざというときに膨らまなかったり膨らみが弱くなっていたりしないように定期点検を必ず行うようにします。ガスボンベやカートリッジをチェックしましょう。必要に応じて別途ボンベを購入し交換します。
チェック
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POINT.1
ボンベの交換
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POINT.2
水を感知するカートリッジの使用期限
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POINT.3
浮力材の気泡壊れによる浮力低下
発泡素材の浮力材も、着用時の屈折などの圧によって気泡が壊れていき浮力が徐々に低下していきます。2〜3年を目処に買い替えることをおすすめします。扱いが不安な方は、釣具店に持っていきメンテナンスを依頼するとよいです。
11
まとめ
Summary
船舶に乗船して釣りをするときは、ライフジャケットに桜マークの有無やタイプを確認するようにします。海や川のオカッパリでも、万が一のためにライフジャケットを装着しておくと安心です。とくに川は、塩分濃度による浮力が働かないので泳ぎに自信のある方も注意しなくてはいけません。「後悔先に立たず」なので、ぜひ準備しておくことをおすすめします。
ティーチャーの用語チェック | |
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桜マーク | 国土交通省により安全基準を合格した印 |
SEA FISH STYLE
SEA FISH ITEM