釣りは自然の生き物を相手にします。釣った魚を食べるのかリリースをするのか、目的を明確にしなくてはいけません。リリースをメインとした場合は、適切なキャッチやリリースが必要になります。もしかしたら、あなたのリリースした魚は、数週間後には死んでしまっているかもしれません。ぜひ、魚の生存率を下げずにリリースするための方法を覚えておきましょう。
目次
01
リリース方法を知らないと…
If
渓流魚など冷水を好む魚は、適切にキャッチ&リリースを行う必要があります。リリースをおろそかにしてしまうと、生存率を大きく下げてしまい資源保護ができません。また、弱った魚は雑菌などにより病気にかかりやすくなり、感染源になる可能性もあります。
- 生存率を下げてしまい、資源保護ができない
- 病気になりやすく、環境に影響するかも…
もし、致命傷を与えたり弱らせてしまった場合は、食べてあげたほうが魚のためです。釣り人のマナーとして必ずマスターしましょう。
02
渓流魚を知る
Fish
魚の生体を知ることで、よりキャッチ&リリースの理解を深めることができます。
魚の呼吸
魚は口から水を取り込み、エラ蓋からから水を排出して呼吸をしています。エラが赤いのは細い血管の集まりによるもので、この血管により水中の酸素を取り込み、二酸化炭素を水中に溶け込ませています。空気に比べ水中に含まれる酸素は少なく、そのため泳いで口に水を取り込んだり(回遊魚)、魚によって取り込み方はさまざまです。水からでてしまうと、二酸化炭素を溶け込ますことができなくなり、呼吸が成り立たなくなります。
魚の体温
多くの魚は、変温動物といい周囲の温度により体温が変化します。ほ乳類のような体温調整機能がなく、水温がそのまま体温になります。冷水に棲息する渓流魚などは体温が低く、人間との体温は10℃以上の差があります。この差は、50℃近いお湯をかけられたらどれほど熱いか考えれば、容易に想像ができます。
魚のヌメリ
魚は、体表にヌメリ(タンパク質の膜)を張ります。このヌメリは、水中にいる雑菌や寄生虫から保護する役割があります。とくに渓流魚は固いウロコに覆われているわけではないので、ヌメリがとても大切になります。
03
バーブレスシングルフックにする
Hook
魚に掛かったハリをスムーズに外せるように、返しを潰してバーブレスフックにします。ルアーフィッシングで使用するルアーがトリプルフックの場合は、シングルフックに交換し返しを潰します。返しはフィッシングプライヤーなどで潰して、力を入れすぎてハリ先が折れないように注意します。
ハリを抜けやすくすることで外す時間を減らし、魚へのダメージを最小限に抑えることができます。ハリがストレートになるので少しバレやすくなりますが、返しの抵抗がなくなるため貫通力がアップし、掛かりがよくなります。
02
早アワセをする
Fast Hooking
口元にハリ掛けることができれば外しやすく、魚へのダメージを軽減することができます。そのためには、早アワセを意識するとよいです。遅アワセや向こうアワセにしてしまうと、飲み込まれてしまう可能性が高くなります。飲み込まれると外す過程で傷つけてしまったり、時間をかければかけるほど魚にとって負担になります。
小さいサイズのハリは吸い込みやすくなるので、奥に飲み込まれやすくなります。タフなフィールドで効果的な仕掛けですが、対象魚にあわせてサイズを大きめにするとよいです。活性が高い場合は、掛かりもよくなります。
04
駆け引きを長引かせない
Fast Catch
魚を掛けたときは、駆け引きを長引かせないようにします。長い駆け引きで魚が疲労し、呼吸ができない陸に釣り上げられると、大きなダメージになります。それだけ回復にも時間を要します。また、あまり水中で遊ばせると他の魚の警戒心を煽ることになります。
長い駆け引きは楽しいですが、魚の生存率を大きく下げていくことになります。対象魚のサイズにあわせて、強引に引き抜ける竿のパワーやライン強度を調整するようにしましょう。
05
ハンドランディングをしない
Hand Landing
釣り初心者の方ほど、魚をキャッチしたときに手でワシ掴みにしがちです。このハンドランディングは、死亡率をもっとも上昇させると言われています。渓流魚など冷水を好む魚にとって、人間の手の温度は10℃以上の差があり火傷に匹敵します。そして、乾いた手によって体表についているヌメリを剥がしてしまいます。魚にとって、このヌメリは雑菌などから守る重要な役割をします。乾いた手袋やタオルによっても剥がれてしまいます。
火傷をしヌメリを剥がされ抵抗力が弱った状態でリリースされた魚は、ほとんどの場合が死んでしまいます。よく見かけるハンドランディングは致命傷といえます。手を水に漬けて冷やしたり、水中で触りましょう。
06
ハリが外せないときはラインを切る
Line cut
ハリを深く飲まれたりして時間をかけて外す必要がある場合は、何もせずラインを切ってしまいます。ラインを切った方が生存率が高いと言われています。難度も針外しを奥まで入れて対処すると、内蔵を傷つけてしまいます。
エラにハリが掛かってしまった場合は、致命傷になりやすいです。リリースせず食べるために締めましょう。
07
タモ網の熱に気をつける
Landing Net
タモ網(ランディングネット)のネットがラバー素材の場合、クッション性に優れ魚をキズから守ってくれます。しかし、気温が高い環境で地面に放置したり、長時間に日に当たると熱を持ちやすくなります。そのままの状態でキャッチすると、魚にとっては火傷になります。適度に水に濡らして熱をとりましょう。キャッチしたら、ラインを緩めるとネットの奥へと入り込みやすくなります。そのままスムーズに浅瀬で水に漬けてあげれば、魚が落ちつきやすく負担を減らすことができます。
コンパクト収納できて、取り出しが簡単な折りたたみ式のタモ網!
形状記憶合金のフレームで小さく収納でき、専用バッグで持ち運びにも便利に活用できます。
枠サイズ | 25cm |
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ブライト仕上げ技術で手触りが快適!ゴムの網袋が魚の肌を傷めない!
網がゴム製なので渓流魚を傷つけません。編み目も釣り針が掛かりにくいサイズで扱いやすいです。
枠サイズ | 約22 × 18cm |
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08
フックリリーサーで外す
Hook Releaser
エリアフィッシングとも呼ばれるトラウト管理釣り場では、バーブレスシングルフックを基本とします。できるだけ魚に手を触れず体力を回復させてリリースすることを推奨しています。もし、魚を著しく弱らせた場合は、キャッチして持ち帰ることを厳守しています。このような釣り場で手返しよく釣りをするためには、フックリリーサーを活用するとよいです。魚を陸にあげる必要がなく、手を触れずにフックを外すことができます。とくに、ルアーフィッシングの場合は、とても重宝するアイテムです。
スプーンやクランクなどのルアーを、スムーズにリリースできる!
軽量で程よく長さがあり、使いやすいフックリリーサーです。価格が比較的安く、しっかりフックアウトできるので、コストパフォーマンスがよいフックリリーサーです。
サイズ | 約32cm |
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重さ | 約30g |
材質 | 金属部/ステンレス、ハンドル/天然木 |
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できるだけ水から出さない
Catch
キャッチしたら、魚をできるだけ水から出さないように対処します。陸にあげたら、できるだけ素早く水に漬けてあげます。魚の頭を上流に向け、口に水が入るようにしてあげると魚が落ち着き暴れにくくなります。水中で魚に触るようにすれば、火傷も負いません。写真撮影をする場合は、速やかに撮りリリースしてあげましょう。
10
魚の回復を待つ
Release
リリースするときは、水中で魚の腹に手を添え支えてあげます。そして、魚が回復し自力で泳ぐまで待ってあげましょう。このとき、魚の頭の上流の方へと向けます。魚の口に水が入りやすくすることで、魚の呼吸をしやすくしてあげます。上流に向って軽く揺すってあげるとよいです。リリースされた魚はより賢くなって、次に会うときは釣り人をさらに楽しませてくれるでしょう。
11
まとめ
Summary
渓流釣りなどでは食べる匹数以上を釣ったら、資源保護のためリリースするのがマナーです。トラウトの管理釣り場でも適切なリリースを厳守しています。魚のリリース方法は、釣る方法以上に大切なことです。必ずマスターするようにしましょう。
ティーチャーの用語チェック | |
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トリプルフック | 3本のハリをまとめたフック。主にルアーに使われる。 |