ミナミヌマエビはコケとりをはじめ、死骸や残餌なども食べてくれるのでタンクメイトとして定番の生体です。手をかけず繁殖もできるので初心者の方にもおすすめです。ツマツマしている姿や足をかいて泳ぐ姿は愛嬌があります。ぜひ、水槽に導入したい生体のひとつです。
目次
01
ミナミヌマエビとは
Minaminuma Ebi
ミナミヌマエビは、日本に生息にしている川エビです。釣り餌にも使われています。四季がある日本で生息しているので水温の適応幅が広いのも特徴です。品種改良もされていて、鮮やかな青や赤など色々なカラーのエビがいます。
コケとり生体として人気があり、繁殖も難しくありません。サイズは小さいので、少し数を多めにするとコケとり効果があります。また、残餌や死骸も食べてくれます。結構フンをするので底床の掃除は定期的にします。カルキや農薬に弱いので、水草の導入時や水換えには注意します。混泳可能ですが大きな魚の場合、補食される可能性があります。
低水温に耐えられ放置型で飼育できるので飼育難易度は低くめです。ですが、水質悪化や酸欠には弱いので水質管理には気をつけます。
名称 | ミナミヌマエビ |
---|---|
別名 | ブツエビ、タエビ |
生息地 | 西日本、朝鮮半島、中国、台湾 |
全長 | 3cm程度 |
価格 | 100円程度 |
寿命 | 1〜2年 |
02
オスとメスの見分け方
Type
オスの特徴
ミナミヌマエビのオスは、メスの匂いを嗅ぎ付けるため鼻先の触覚が長く、体色も透明よりになります。
メスの特徴
ミナミヌマエビのメスは、背腸に黒く覆ている卵巣があります。サイズがオスよりも大きくなり、3cm程度のサイズはメスの可能性が高いです。体色も、オスと比べ薄く色(緑など)が付く傾向にあります。
03
水質・水温
Water
ミナミヌマエビに適した水質は、弱酸性〜弱アルカリ性です。水温は、5度〜28度程度が範囲です。夏は高温に注意し、酸欠になりやすいのでエアレーションやファンで調整します。冬は、低温にも耐えられますがヒーターを用意してあげると安心です。
水質を安定させるために、外部フィルターなどの「ろ過器」は必ず設置するようにします。バクテリアの環境を整え水の浄化作用が働くようにします。
水質 | 弱酸性〜弱アルカリ性 |
---|---|
水温 | 5度〜28度程度 |
必須装置 | 外部フィルター(ろ過装置) |
必須アイテム | ファン(夏)、ヒーター(冬) |
水換え
水換えは、3日に1度の頻度で水槽水の1/3程度換えます。水はカルキ抜きした水を使います。
水 | カルキ抜きした水 |
---|---|
頻度 | 3日に1度 |
水量 | 水槽水の1/3程度 |
たくさんのアクアリストから支持を得ている外部フィルター!
外部に設置するので水槽内がすっきりし、構造がシンプルなのでお手入れも簡単です。ミナミヌマエビにおすすめのろ過器です。
04
レイアウト
Layout
ミナミヌマエビは、掴めるものを好む傾向にあるので水草や流木などがあるとよいです。それらに付いたコケが餌にもなります。水草で隠れ家を作ると稚魚の生存率を上げることができます。アナカリスなどの柔らかい葉の水草は、コケがないときの非常食にもなります。
水槽の脱走にも気をつけます。何気に飛びます。魚に追い回された時や照明の光が急についた時などに驚いてジャンプし、水槽外で飛び出してしまうことがあります。そのようなことが起きる場合は、フタをして防止します。
- 浮き草やウィローモスなどの水草を入れる(隠れ家や餌になる)
- 流木を入れる(掴めるものがスキ)
- 飛び出すようであればフタをする

おすすめの水草
浮き草 | アマゾンフロッグビット、ドワーフフロッグビット |
---|---|
水草 | ウィローモス、マツモ、アナカリス |
水草の導入
水草を導入するときは残留農薬がないか確認します。ミナミヌマエビは、農薬に弱いので農薬が残っていると★になってしまう可能性が高くなります。購入する前に「無農薬」か確認するようにします。
05
繁殖・稚魚
Breeding
ミナミヌマエビは初夏〜秋にかけて抱卵します。「抱卵の舞」といい、数匹のエビが泳ぎまわると、数日以内にメスが抱卵する可能性が高いです。卵は、深緑の濃い色をしていますが、孵化が近づくにつれ薄くなっていきます。卵を抱えると、メスは新鮮な水を送るため卵を揺する行動をします。
気をつけたいこと
ミナミヌマエビの抱えた卵は脱卵してしまうと、その卵は孵化しません。極端な水換えをおこなったり、水質悪化をさせてしまうと、脱皮したりストレスで脱卵してしまうことがあります。脱皮してしまうと卵ごと剥がれてしまいます。水質が大きく変化しないように気をつけます。
稚エビの飼育環境
稚エビは、親エビと同じ形で生まれます。補食される可能性が高いので生存率を高める場合は、抱卵した親を隔離したり水草で隠れ家を作っておきます。大きさも非常に小さいので吸水パイプに吸われる可能性があります。挟まると★になってしまうので、ストレーナースポンジなどを付けて吸い込まれないように対策しておきます。
稚エビの餌
餌はとくに必要ありません。コケなどを食べるので自然に育ちます。
産卵飼育や弱った生体を隔離したいときに、とっても便利!
ミナミヌマエビの産卵飼育や隔離したいときに便利です。外掛けなので水槽内が狭くなることがありません。
サイズ (幅×奥行×高さ) | 16.5cm × 12.5cm × 13cm |
---|---|
重量 | 300g |
備考 | 別途エアーポンプ、エアーチューブ必要 |
06
導入・水合わせ
Matching
水合わせは、ドボンはせず点滴方法でしっかり時間をかけて水合わせをします。バケツなど容器を用意して点滴方法で丁寧な水合わせをします。
用意しておきたいアイテム
水合わせキット | 点滴方法で水合わせできる |
---|---|
バケツ | 生体を水質に慣れさせるための容器 |
透明ビニール | 水温合わせ用に水槽に浮かべる |
水槽水をじっくり時間をかけてバケツに移して慣れさせます。点滴方法は専用の「水合わせキット」を使うと便利です。ショップの水と水槽水の水温差があるときは、水温も合わせてから導入します。
- エアレをかけながらバケツで6時間ほど点滴方法であわせる(2秒に1滴程度)
- バケツの水がたまったら半分すてる×3(ショップの水の濃度は6倍以上薄める)
- 水槽に1時間ほど浮かせ水温を合わせる
- 網ですくい速やかに水槽に導入
ミナミヌマエビは、ピョンピョン跳ねるので水槽に移すときは素早く行います。
魚の負担を最低限に抑える水合わせの必須アイテム!
コックを調節して点滴の水量を調節することができます。丁寧な水合わせに必須なキットです。
07
エビの色や模様が違うけど…
Color
ミナミヌマエビは、環境に合わせて体色が変化します。透明をベースに、緑、茶、黒など色は様々です。体調も体色に出ることが多く、白濁したり赤っぽい場合は体調を崩していることがあります。エビは、★になってしまうと茹でたような赤になります。
成長してくると、背中に大きな1本の太いラインが頭から尾にかけて入ることがあります。これは、メスに多く見られる模様です。
体色の関係性
緑、茶、黒など | 環境や餌による体色の変化 |
---|---|
白濁、なんか赤い | 体調を崩している可能性がある |
茹でたような赤 | ★になっている |
ミナミヌマエビが改良品種された「チェリーシュリンプ」というエビもいます。レッド、イエロー、ブルー、チョコレートなど鮮やかなカラーバリエーションが魅力的なエビです。コケ取りより観賞用としての目的で飼うことが多いようです。水槽を鮮やかにしたいときなどにおすすめです。
08
餌って…
Feed
ミナミヌマエビの餌は、とくに必要ありません。死骸や魚の残餌、コケなど何かしらをツマツマして食べています。もし餌が不足しても水草があれば非常食にしてくれます。
餌 | コケ、死骸、残餌など |
---|---|
人工餌 | 沈下性の餌 |
人工餌をあげることもできます。沈下性の餌が適していますが、エサ慣れしてしまうとコケや死骸など食べなくなってしまうことがあります。
09
夏や冬の水温が心配…
Temperature
夏と冬は水温の変化が大きくなり注意が必要です。しっかり管理しないと生体に大ダメージとなって★になりやすいです。ミナミヌマエビは、極端に高温になってしまうと絶滅してしまうこともあるので気をつけます。夏は酸素が水に溶けにくくなるのでエアレーションで酸欠にならないようにします。
ファンやヒーターを導入すれば簡単に水温を適温に調整できるようになります。選ぶときは、必ず製品の適合水槽を確認しましょう。
冷えすぎ防止サーモスタットが内蔵されていて安心、夏の水温調整に最適なファン!
取り付け簡単なクリップ式のファンです。サーモスタットが内蔵されているので、水槽の水が冷えすぎることがありません。
型番 | CFT-30 |
---|---|
サイズ (幅×奥行×高さ) | 8.5cm × 2cm × 16.5cm |
重量 | 88g |
冷却効果 | -3℃ |
10
隠れ家は、どうすれば…
Kakurega
ミナミヌマエビの隠れ家には水草が最適です。水草は水槽内の養分を吸収し、水の浄化にも活躍してくれます。浮き草や有茎草は隠れ家になり、柔らかい葉の水草は非常食にもなります。
飼育難度も高くなく、稚エビの隠れ場所に活躍する浮き草!
弱酸性から弱アルカリ性と幅広く順応できる浮き草で、蛍光灯の光量で育成することができます。稚エビの隠れ家におすすめです。
数量 | 3株(無農薬) |
---|---|
飼育難度 | ★★☆☆☆ |
成長が早く浮き草や底床に植えてもOKな水草!
アナカリスは成長が早い水草です。そのため水槽内の養分を吸収してくれるので水の浄化作用もあります。
数量 | 20本(無農薬) |
---|---|
飼育難度 | ★☆☆☆☆ |
ウィローモスより明るめの色合いと人気の高い種類!
幾何学的な形状に葉を展開するウィローモスです。流木や石に活着させることができます。茂らせることで稚エビの隠れ家にもなります。
数量 | 1パック(無農薬) |
---|---|
飼育難度 | ★★★☆☆ |
11
エビの病気って…
Sick
ミナミヌマエビは、病気にかかったり寄生虫が付いてしまうことがあります。エビをはじめとする甲殻類は、薬や塩に弱いので薬浴・塩浴で治療するのが難しい生体です。「病気にさせない」水質を管理することが大切になります。
水カビ病
水カビ病は、体表に白いモフモフしたかたまりが付着します。
原因 | 水質悪化により発生した水カビによる感染 |
---|---|
対策 | 定期的な水換えをして水質を改善する |
ネクタリン寄生虫
ネクタリン寄生虫は、エビの内蔵に寄生します。エビの内蔵がオレンジ色になって見えます。
原因 | 生体導入時など外部からの持ち込みによる寄生 |
---|---|
対策 | 体内に入り込んでいるので駆除が難しく、感染した死骸を食べた生体に感染するので隔離する |
エビツノヤドリムシ
エビツノヤドリムシは、エビの頭の先に白っぽい角が数本ついているように見えます。
原因 | 生体導入時など外部からの持ち込みによる寄生 |
---|---|
対策 | とくにエビに害はなく、脱皮で一緒に剥がれることが多い |
エビツノコバン
エビツノコバンは、コバン状の生物でエビの体表に張り付きます。肉眼でもわかる大きさで生命力が強く厄介な寄生虫です。
原因 | 生体導入時など外部からの持ち込みによる寄生 |
---|---|
対策 | ピンセットで剥がさなくてはならなく大変 |
エビヤドリモ
エビツノコバンは、藻のようなフサフサがお腹から足にかけて付きます。害なのかわからないようで、隔離しておくと無難です。
原因 | 生体導入時など外部からの持ち込みによる寄生 |
---|---|
対策 | 隔離するのが無難 |
ミナミヌマエビの病気や寄生虫に関して、その寿命の長さなどの理由によりわからないことが多いようです。危害がないものが多いですが、気になる方は隔離することをおすすめします。
12
相性がよい混泳って…
With
ミナミヌマエビは、魚にとって補食対象になりやすいので注意が必要です。大型魚ではなく小型魚がおすすめです。「甲殻類を餌としない」かも確認します。
- 口が小さい小型魚
- 甲殻類を餌としない魚
- 同等サイズのエビ
同サイズであれば違う種類のエビ同士の混泳は可能ですが、スジエビなど小型のエビを補食するエビもいるので必ず習性を確認します。
おすすめの生体
メダカ、クラウンキリー | 上層をメインに泳ぎます。 |
---|---|
オトシンクルス | 口が吸盤になっているので補食ができません。 |
チェリーシュリンプ | ミナミヌマエビよりも若干サイズが小さいエビです。 |
魚は小型でも口に入るモノは補食する習性を持っています。稚エビは、ほとんどの魚の補食対象になってしまいます。「絶対大丈夫!」という混泳はないので、様子を観察し必要であれば隔離しましょー。

13
フンの量が多くて掃除が大変…
Clean
ミナミヌマエビは、たくさんフンをします。エビの数が増えるほどフンの量は凄まじくなります。スポイトで少し掃除すればというレベルではありません。フンは水草の栄養にもなりますが、過剰に底床に蓄積にしていくと水質悪化につながります。底床を白砂など明るくしている場合は、蓄積するとフンが目立ち鑑賞的にマイナス要素になってしまいます。定期的に底床の掃除をするように心がけます。
掃除をするときは、プロホースというアイテムがおすすめです。底床を巻き上げ、隙間に入り込んだフンも簡単に吸い込み掃除できます。スピーディーに掃除できるので掃除時間が短縮でき、とても使いやすいです。
気持ちよいほど掃除できる、底床掃除の定番アイテム!
とても使い勝手がよく広範囲を素早く掃除できます。同時に排水も兼ねているので、水換えも行えます。その便利さは、ぜひ手にしておきたいアイテムです。
サイズ | S、M、L |
---|
14
ろ過器は稚エビの隠れ家?
Filter
水槽内でミナミヌマエビの稚エビが誕生した後、ろ過器を掃除するときは注意が必要です。ろ過器内部に吸い込まれた稚エビたちがいる可能性があります。掃除の手順を確認し、稚エビたちを回収してあげ水槽に戻してあげましょー。このことを意識しないと、たくさんの稚エビたちを★にしてしまいます。
外部フィルターの構造にもよりますが、排水と一緒にでてくる稚エビもいれば、水のなくなったフィルター内部にへばりついている稚エビもいることが多いので素早く流して水のある環境に戻してあげます。
15
ミナミヌマエビを飼育しよう
Select
ミナミヌマエビは、数が少ないとコケとり効果はあまり期待できません。数をたくさん入れすぎると爆発的に繁殖する可能性があるので、水槽サイズあった数を導入することをおすすめします。
ツマツマしている姿が愛くるしく、コケとりもしてくれるミナミヌマエビ!
ミナミヌマエビは、数を入れおくと水草のコケ防止にも役立ちます。繁殖も簡単なので初心者の方にもおすすめの生体です。
16
まとめ
Summary
ティーチャーの用語チェック | |
---|---|
タンクメイト | 混泳させる生体のこと |